部員たちが、僕に夢を与えてくれた。

智辯和歌山 古宮克人野球部部長が選手と共に目指す18年ぶりの全国制覇

甲子園には、今なお語り継がれる伝説の試合がいくつもある。そのひとつが、2006年の第88回全国高等学校野球選手権大会準々決勝、帝京高校対智辯和歌山高校の一戦だ。九回2死から8点を奪われ、12-8と崖っぷちに追い込まれた智辯和歌山は、その裏、驚異的な粘りを見せて同点に追いつき、押し出し四球でサヨナラ勝ちを果たした。球史に残る逆転劇で最後に打席に立ったのが、主将の古宮克人。彼は今、智辯和歌山の野球部部長として部員と共に青春の汗を流している。ひたむきに夢を追い続ける元甲子園球児の熱い生き様に迫った。

​智辯学園和歌山高校

​古宮克人

​教師

​お客様インタビューVol.1

​〜金融業を通じて、誰もが大切なものを守り、夢を掲げ挑戦できる世界を作る〜

本企画ではそんなイコールワンのビジョンに沿ってサポートをさせていただいている、今を輝くお客様の人生を取材していきます。

智辯学園和歌山高等学校教員

野球部 部長

古宮克人 / ふるみや かつひと

1988年生 29歳 
2006年智辯和歌山高校野球部主将、夏の甲子園に1番センターで出場。歴史的な逆転劇とされる智辯和歌山-帝京では最終打者としてサヨナラ勝利を呼び込みベスト4に進出、準決勝では田中将大(現NYヤンキース)率いる駒大苫小牧と激動を繰り広げた。高校卒業後は立命館大に進学、同大野球部にて主将を務めた後、母校、智辯和歌山に保健体育科教員として赴任。同校野球部副部長を経て、2017年4月に部長に就任。2018年4月、第90回選抜甲子園にて準優勝を収めた。

順境に驕らず、逆境に挫けず。

奇跡の逆転劇を生んだのは、冷静な状況分析力と不屈の闘志

スタンドが興奮と動揺で揺れていた。2006年夏の甲子園準々決勝。8回を終えて、点差は4-8。智辯和歌山は4点のリードを保って9回を迎えた。この1回を抑えれば試合終了。智辯和歌山側のスタンドが期待に沸く中、帝京がまさかの8得点を挙げ、ゲームは12-8に。智辯和歌山は、絶体絶命の状況に追い込まれた。しかし、主将の古宮さんは冷静だった。
 
「9回表で最後にピッチャーが2年の松本(利樹)くんに替わったんですけど、彼が1球で相手打者を打ち取ったんですね。攻守交代で9回裏。マウンドを見たら、エースが降りて別の選手が立っていた。その投球を見て、まだいける、まだ逆転できる、と思いました」
 
本来なら失意と落胆に呑まれてもおかしくはない状況だ。だが、智辯和歌山のベンチは誰一人諦めてなどいなかった。
 
「僕たちには常勝軍団というプライドがあった。だからこそ、このまま終わるわけにはいかなかった。ストライクやったらしっかり打つ。ボールやったら見極めて次につないでいく。いつも監督に言われていることをきちんと守っていこう。そうみんなに声をかけて、攻撃に入りました」
 
春夏合わせて3度の甲子園優勝を誇る名門校。その自負が、逆境に立たされた球児たちを奮い立たせた。相手投手は制球が定まらず四球を連発。そこから4番橋本良平の3ランで1点差に追いつめると、一気に流れを掴んで同点に。古宮さんは、1死満塁という絶好のチャンスで打席に立った。

大応援団が生み出す「魔曲・ジョックロック」は逆転を呼び込む甲子園の名物応援歌。

日本屈指の進学校として驚異の進学実績を誇る同校の生徒は、礼儀正しく、一生懸命だ。

​勝利を信じる勤勉な校風は、社会で活躍する卒業生を多く輩出している。

「あの打席で僕は本塁打を狙っていたんです。でも初球でバッドの先に当てただけのファールを打って目が覚めた。力みすぎるな。ボールを真芯で捕まえろ。打てる球を打ち損じせず打つ、というのが(高嶋)監督の教え。長打を狙う気持ちは忘れず、しっかりボールを見極めよう、と。そこからはすごく冷静に相手のピッチングを見ていました」
 
その冷静さが、四球押し出しでサヨナラ勝ち、という結末を生んだ。世紀の乱打戦を制した智辯和歌山は、次戦でエース・田中将大を擁する駒大苫小牧と対決。前年の夏の甲子園決勝、背番号11の圧巻の投球をスタンドで見ていたときから、田中将大はずっと目標の相手だった。
 
「今振り返れば、ずっと目標にしていた分、試合ができることにもう満足していた。もちろん倒して上に行くつもりだったんですけど、対戦できる満足感の方が上回っていた気がします」
 
田中将大の好投を前に、7-4で智辯和歌山は敗北。古宮さんの夏は、終わった。
 
「“順境に驕らず、逆境に挫けず”――人生は自分の思い通りにならないことがほとんどです。だからこそ逆境をどう乗り越えることが大事だし、逆に思い通りにいっているときほど謙虚にならないとダメ。当時、野球部の部長だった先生がよく言ってらっしゃった言葉なんですけど、

今でもこの言葉が僕の柱になっています」

練習後の片付けを生徒と一緒に行う姿が印象的だった。​その背中からは「息子に良い運動能力を授けてあげるために常に最高の状態でいたい」と持論を唱え、トレーニングを続けている成果から逞しい筋肉が浮き出る。

目的のわからない練習では強くなれない。

若き指導者が考える、自立型チームのつくり方

その後、プロを目指し、立命館大学へ進学。だが、徐々に思い描く理想のプレイができなくなりつつある自分に気づき、3年の秋季リーグ戦をもって選手の道を断念。母校・智辯和歌山で指導者として新たな人生を歩むことを決めた。着任から8年、智辯和歌山のグラウンドには熱心に選手を指導する古宮さんの姿がある。 「高校野球は教育の一環。指導において一番大切なことは“自立した人間”を育てることだと思っています。中学を卒業したばかりの頃は、どうしても受け身の子が多い。まずは自分で目標を明確化し、達成のために何が欠けているのかを自分で発見し、それを補うための方法を自分で考えられるように働きかけています」 だからこそ、トレーニングメニューもトップダウンというかたちはとらない。ベースとなるプランを古宮さんが考えた上で、選手一人ひとりの意志を確認し、選択できるようにしている。

​生徒の目線で話かけるのが古宮部長のスタイル。生徒からの信頼は厚い。

「しんどいことをやらせたいのが、一般的な指導者の心理。でも、単にしんどいことをやって上手くなるならいいですけど、目的も見えずに嫌々練習しても意味がない。だから必ず僕はトレーニングの目的を伝え、知識を持ってもらった上で、選手たちにどんな練習方法がベストか考えてもらうようにしています」 そんな現代的な指導者としての顔を覗かせる一方で、試合中、ベンチにいる古宮さんは情熱的だ。選手以上に大きな声を上げ、チームに活気をもたらしている。 「試合の先の流れを読み、戦術を考えるのが監督なら、選手一人ひとりの精神状態を細かくコントロールするのが僕の役目。そのためには誰より大きな声も上げるし、個別に細かくアドバイスも送ります」 

準々決勝、サヨナラのランナーが帰還。歓喜の瞬間、古宮部長は生徒と共に喜びを爆発させた。

つい先日終了した第90回記念選抜高校野球大会。智辯和歌山は、18年ぶり3度目の準優勝を果たした。その舞台裏にあったのは、連日の逆転劇。準々決勝の創成館戦では、延長十回で勝ち越しの1点を奪われたが、そこから不屈の2点二塁打で逆転。準決勝の東海大相模戦では、延長十回で2点をあげ勝負を決めた。なぜ智辯和歌山はこれほど逆境に強いのだろうか。 「スポーツは気持ちだけで何とかなるものじゃない。逆境を跳ね返せるのは、それだけの実力を普段から蓄えられているから。試合中に急に逆転できる力が生まれてくるわけじゃなくて。日頃の練習を通じて、どれだけ“根拠がある自信”をつけているかが勝負なんです」 そう力強く言い切れるのも、古宮さんがこれまで何度となく逆境に立ち向かってきたからだ。 「逆境は逃げても追いかけてくる。だから、逆境があれば自分から飛び込みます。そうしないと逆境は乗り越えられない。何か選択肢があったとき、必ず険しい方の道を選ぶのが僕の鉄則。しんどいときほど、人はつい甘えたくなるけど、そこで甘えてしまうと後で後悔が生まれるんですよね。後悔しない人生を送るためにも、強い決意を持って逆境に立ち向かう。そういう人生をこれからも送っていきたいです」

練習後の集合では、整理整頓の重要性について生徒に語る。​チームの隅々まで注意をはらう古宮部長は、わずかな油断の芽を見逃さない。

守りたい大切なもの。

家族がいてくれるからこそ、僕は頑張れる。

そんな古宮さんは現在一児の父。部員と共に甲子園優勝を目指す傍ら、一家の大黒柱としての顔も持つ。 「月並みですが、家族はエネルギーの源。ヘトヘトになって家に帰っても、子どもの寝顔を見たら疲れが吹き飛ぶ。僕がこうやって頑張れるのは家族の支えがあってのことです」 だからこそ、家族を守りたい気持ちも強い。古宮さんがイコールワンと契約を結んだのも、「大切なものを守る」という理念に深く共感したからだ。 「我が家の家計は僕が管理しているのですが、決して金融に詳しいわけでもない。そんな僕に対して、保険はもちろん、将来のための資産計画とか、いろんなことをアドバイスしてくれるのがイコールワン。すごく頼りにしています」 代表の安田は個人的に年に数回、和歌山に足を運ぶ。そのたび同僚教師をまじえ食事をする時間が、古宮さんの刺激になっている。 「教員以外の人と交流を持てるのは、僕にとって貴重な場。安田さんとお互いの近況や経営についての話を聞きながら、僕も部のマネジメントに活かせるところはないかと参考にさせてもらっています」 18年ぶりに春のセンバツで準優勝を果たした智辯和歌山。そうなれば、次なる目標はただひとつ。夏の甲子園で全国制覇だ。現主将の3年・文元洸成選手は「家族との時間を削ってまで僕たちのことを支えてくれている古宮先生のためにも甲子園で優勝したい」と恩返しを誓う。 「文元くんはそう言ってくれていますが、僕にとって野球部の子たちはみんな息子。だから僕はずっと家族といてるんです」 古宮さんはそうまっすぐに前を見つめた。 

​練習最後のランメニューでは笑顔で生徒を盛り上げる。

「部員たちは僕に夢を与えてくれる存在。彼らと甲子園優勝を目指す日々が、僕にまた青春をくれました」 智辯和歌山のグラウンドには、今日も古宮さんの姿がある。生徒たちと共に笑い、生徒たちと共に悔しがる。そんな汗と埃の日々の先にあるのは、甲子園優勝という最高の夢。智辯和歌山の熱い夏が、もうすぐ始まろうとしている。​

制作:イコールワン広報部

一部写真提供:BASEBALL FAN 様

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